一位一刀彫の特徴
一位一刀彫の龍一位一刀彫は、一つの木材を削って作られた木像のことです。その最大の魅力は、着色をしないことにより映える美しい木目と、年月と共に増していく色艶です。木材には主にイチイの木が使われます。
イチイについて
一位一刀彫に使われるイチイの木はイチイ科の常緑樹で、別名アララギとも呼ばれます。古くから名木と言われ、「岐阜県の木」「高山市の木」としても名高い木です。
イチイという名前は平治元年(1159)、飛騨の一宮神社の神主が、位山のイチイで作った笏を時の朝廷に献上したところ、「他の物よりも美しく、質も良い」と評価され、「正一位」という位を賜ったことが由来となっていると伝わっています。他にも、公家の最高の位である「一位」と語呂合わせをしたのでは、という説もあります。
イチイには、木目が細かい、油分が多い、夏目と冬目が均一であるため彫りやすい、時と共に渋みと光沢が増す、といった特徴があります。そのため、一位一刀彫には欠かせない木となっています。
かつては飛騨産のイチイを多く使っていましたが、近年では生産不足により、北海道産のものを使うことが多くなっています。